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  • 執筆者の写真院長

寄生虫今昔

今回は、寄生虫について触れたいと思います。


寄生虫に関しては、土地柄もありますので、あくまでも私の経験ということでご理解下さい。


私がこの所沢に病院を構える前には、春日部市大沼の「小暮動物病院」(現在は事業継承され、他の先生が引き継がれ、病院名も改名されています。)というところに勤務していました。近くには田んぼが広がり、その田んぼの向こうに春日部共栄高校が見えるというそんな土地でした。


30年前です。フィラリア症も多かったです。

慢性症状で、腹水が溜まり、心不全を起こしている犬も多く見られました。

さらに、ベナケバ・シンドロームと呼ばれる急性症状も多く、緊急オペも多かったです。

本来、肺動脈に寄生するフィラリア成虫が、急に右心室内に移動して、急性症状を引き起こします。血色素尿と貧血、虚脱状態などの症状が見られ、心臓内からフィラリア成虫を釣り出さないと死に至ります。

そんな手術が頻繁にあり、残業もしばしばでした。

画像は、ビーグルから摘出したフィラリア成虫です。


そして、もう1つは、マンソン裂頭条虫。

中間宿主をヘビやカエルで、それを猫が捕食することで、感染します。

病院裏のお宅の猫ちゃんが、カエルをくわえているのを見たので、そのお宅のお母さんにお尻から変な虫が出てきたらすぐに教えて下さい。院長に内緒で駆虫してあげるから。

しばらくしたらお母さんから連絡が。

お尻からゆっくり丁寧に虫を引っ張り出して、猫ちゃんは注射で駆虫。

その標本がこちら。

そして、所沢にて動物病院を開業。

まず、所沢には田んぼが無く、畑中心なので、まずカエルなどがほとんどいません。

特に私の開業した中心部は。

ということで、マンソン裂頭条虫は、皆無。

そして、フィラリアの感染濃度が低く、ベナケバ・シンドロームの手術は1例もありません。開業祝いに、お世話になった院長が、その為の手術器具をプレゼントしてくれたのに。


そして、所沢で最初に遭遇した寄生虫は、鞭虫。

症状は、強烈な下痢です。

その下痢便を顕微鏡で検査すると、レモン型の虫卵で確認できます。

この寄生虫が、あちらこちらで見られましたが、もう20年位見ないです。


そして、最近よく見かけるのが、回虫です。

ペットショップや里親探しの会から、ペットを購入・譲り受ける事が最近多く、野良猫を保護したとか知り合いのところで産まれた犬をもらったという例が減ったし、ブリーダーさん達の意識も高くなったので、しばらく見なかったのですが、最近数例出てきました。

これも検便すると、以下のような虫卵が見られます。

下痢で発見されたり、虫自体を吐いて発見されたりします。


土地によって、時代によって、寄生する虫も変化してきます。

また、最近では、都幾川村?の方から来た猫2匹に糞線虫らしき虫卵が見つかりました。

やはり田舎の方は、寄生虫の宝庫ですね。


所沢も都会化してきたのかな・・・。


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